公益社団法人日本山岳ガイド協会

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環境保全行動指針

環境保全行動指針
~遊ぶ、学ぶ、守る自然環境~

前文

我が国は、南北、東西にそれぞれ 3000kmに及ぶ国土を持ち、さらに標高も海抜 0mから 4000m近くまで分布しています。そのため、亜寒帯から亜熱帯まで幅広い気候帯が分布しているのが大きな特徴です。さらに、森林が国土の 7割を占め、多くの島々が点在する箱庭のような地形を持ち、世界的にも特異で複雑な魅力あふれる生態系を持っています。その類い稀な自然環境の中で、私達日本人は、自然と共に生きていくためのルールや知恵をもち、様々な社会の慣習や信仰などを築いてきました。古来、人は自然と密接な暮らしをしてきたのです。

しかし、現代社会では、多くの人が自然とは離れた都市で暮らし、自然に接する機会が著しく減少する時代になりました。人の生活にとっても深刻な問題であるはずの迫り来る地球温暖化に対しても危機意識は希薄です。そうした状況の中で、2020 年春、新型コロナウィルス感染症が世界中に拡大しました。私たちが、産業革命以降営々と築いてきた快適で便利であるはずの社会環境は、大きなダメージを受け、世界中が類いまれな混乱に陥っています。

私たちは、この時だからこそ、もう一度自然界における人間の立ち位置を見つめ直し、人と自然環境との適正な距離を捉え直すべきではないかと考えます。公益社団法人日本山岳ガイド協会に所属するガイド(以後、ガイド)は、登山を始めとする自然体験を安全に楽しめるようサポートすることはもちろん、その体験を通じて里山から奥山まで、あるいは海岸、河川、湿地などの自然の本来の魅力を伝えることを目的として活動しています。その活動の中で、気候変動による脅威もガイドが一番肌身に感じているところです。一度失われると再生に多くの時間や労力を要する自然環境の保全と活用を常に意識しながら行動し、次世代に引き継いでいくことが必要と考えています。

以上を踏まえ、公益社団法人日本山岳ガイド協会は環境保全行動指針を定め、実践し、さらに幅広く啓発活動を推進するものとします。


<環境保全行動指針>


  1. 私たちガイドは、自然環境の保全と活用を目的に活動します
  2. 私たちガイドは、持続可能な社会を実現するために、自然環境の保全を優先して活動します
  3. 私たちガイドは、素晴らしい我が国の自然を未来に残すために努力を惜しまず活動します



<ガイドのルール・マナー>


私たちがガイドは、以下のルール・マナーを実践します

  1. 安全管理の徹底とともに環境への負荷を低減する
  2. 生態系に極力ダメージを与えない行動をとる
  3. 自然体験活動中のすべてのゴミを持ち帰ることに努め、同行者にもお願い
    する
  4. 排泄物の処理方法に細心の注意を払い、同行者にもお願いする
  5. 生物多様性を理解し生息する動植物に対して配慮した行動をとる
  6. 自然環境を正しく理解してもらうために自然解説を行う
  7. 自然体験活動を楽しむ全ての人々の健康に配慮する
  8. 自然と人とを繋ぐコミュニケーションを促進する
  9. 以上のこと進めるため、顧客への啓発活動を推進する